2012/08/16
MMD Ver7.39x64 MME0.29beta リリース
気紛れ、というのは時に驚きと共に喜びになる事もあるという事でしょうか。MMDが久しぶりにバージョン変更版がリリースされ、またMMEもそれに併せたバージョンアップ(現在ベータ版)がリリースされています。
MMD杯の前夜祭といった感じでしょうか。
■MMD Ver7.39.x64
MikuMikuDance Ver7.39.x64
http://www.geocities.jp/higuchuu4/
(※64bit対応OSが必要。また環境によってはVisualStudio Visual C++ 2008ランタイムのインストールが必要)
▼全体的な速度処理向上
64bit化と同時にマルチコア対応になり、更にコードのチューニングによる速度向上が図られ、モデルの読み込みや巨大モーションファイルの読み込みや処理、物理演算、描写処理など様々な所で処理速度が劇的に向上しています。
体感速度でも5~12倍程度(環境によりけり)の速度差があります。
特に負荷が大きい時に差が大きく出始めます。
きしめんAllstarでのベンチでは差がよく分からなくても、頂点・材質が多いモデルやアクセを多数読み込み、負荷を掛けるようなプロジェクトを別途組んで比較すると分かりやすいでしょう。
▼64bit化による動画コーディックの影響
64bitにネイティブ対応した事により、AVI背景読み込み・AVI出力における動画コーディックが64bit用のものに絞られます。
Ut Video Codecなど64bit用のコーディックのインストール・使用などをお勧めします。
(OS側へ組み込まれるエンコーダー・デコーダーに影響が出る為)
▼省エネ設計
従来では、MMDは常に描写を行っていました。描写を止めたい場合はバージョン情報・ファイルダイアログを出し続けておかないと描写は止まりませんでした。
(ウィンドウを最小化しても、バックグラウンドで常に描写行動は行っていた)
このバージョンでは、物理演算設定を「常に描写」以外のモードにしておくと、再描写が必要な場合(フレームを移動した、画面上で操作を行った、マウスが動いた)以外の時は、描写を一時停止する機能が搭載されています。
これにより、考え事をしている間や他ソフトなどを弄っている時のCPU・GPUへの負荷がほぼ無くなります。
節電や廃熱対策に役立ちます。
▼ミップマップ標準装備
標準シェーダー側にてミップマップを標準装備したので、テクスチャなどが滑らかに表示されるようになりました。
特に町並みのアクセサリなどのテクスチャで、遠方側に表示されるテクスチャ、細かい網目のテクスチャなどのジャギーやモアレが軽減されます。
標準での描写であり、また設定項目はありませんので、細かく調整したい場合はグラフィックドライバに付属しているコントロールパネルなどで、mikumikudance.exeでグラフィック描写の設定を自分で変えるか、もしくはMMEのfull.fxなどを適用・改造などをして調整する必要があります。
▼操作面の向上
要望が多かったキーフレーム「◆」を直接マウスドラッグで移動する事が出来るようになりました。
また、右ダブルクリックモードも搭載し、操作枠とフレーム操作枠の移動が容易になりました。
・メイン画面より下(各種パネル上)でダブルクリック → カメラモードへ移行
・メイン画面・フレーム操作パネルでダブルクリック → モデルモード(モデルが無い時は無視)
・カメラモード時 → 最後に操作したモデルの操作モードへ移行(モデルが無い時は無視)
・モデルモード時 → ボーン選択表示をトグル。表示なし時はXYZアイコン付近へカーソル移動
メイン画面右下のXYZアイコン付近でダブルクリック → フレーム操作パネルへカーソル移動
■MME Ver0.29beta
MME x64対応 人柱版 - にゃっぽん 舞力介入Pの公開日記
http://v-nyappon.net/?m=diary&a=page_detail&target_c_diary_id=1063133
(※日記のタイトルにある通り、まだβ版なので使用などは自己責任で)
MMEの方は処理速度向上などではなく、あくまでも取り急ぎMMD Ver7.39.x64版への対応がメインとなっています。
(それでも環境によっては処理速度向上が望める場合もあるかもしれません)
MMEの基本的な動作は以下の流れです。
1:○○○.xや○○○.pmd/pmxなどを読み込む
2:上記アクセ・モデルと同じファイル名で拡張子違いの「○○○.fx」を探してそれを読み込む。
3:fxファイルをMMEでコンパイル(GPU命令に翻訳)
4:MMDから描写命令を奪い、コンパイルした描写命令でGPUを動かす
というものです。
64bit対応になった事と、MMD側で使用しているDirectX SDKのバージョンが変わっている為に、上記3番でのコンパイル実行時に、SDKの古いバージョンで記載されているエフェクトなどは動作しない場合もあります。

このバージョンでは、従来の互換が取れるようにCompile Modeが選べるようになっています。
Type 0では64bit版MMDに基準したコンパイルを行い、Type 1では従来との互換性の方を重視したコンパイルを行うモードです。
Type 1はベータ版の検証用としてあるもので、正式リリース版ではなくなる可能性が言及されています。
現在リリースされている数多くのエフェクトファイルは、どちらのモードでも動くもの、Type 0でしか動かないもの、Type 1でした動かないもの、どちらのモードでも動かないものと様々です。
Type 0用とType 1用のものを混在させて読み込ませると、どちらのモードにしてもエラーが出てしまいます。
コンパイルモードの変更は、エフェクトファイルを読み込んだ後でも有効で、モード変更時に再度コンパイルするようになっています。
ざっと使ってみた感じでは、シェーダー系やポストエフェクト系はほぼ動きます。
パーティクル系は動くものとエラーで描写しないものとが大きく分かれます。その場合はエフェクトファイルの修正が必要かもしれません。
※技術者向け
どちらのモードでもコンパイルが通らない場合の多くは、Technique名が重複している場合がほとんどだそうです。
また、従来通りログウィンドウなどでエラー箇所が確認できたり、エフェクト割当てウィンドウの「ツール」メニューになる逆アセンブルを行う事でデバッグが可能です。
■最後に
MMD/MME共に64bit対応版となりましたが、最終出力で大きく差が出るという事はあまりありません(MipMapでテクスチャが綺麗になったくらい)。また従来の制限が緩和されているとう事もありません。モデルや剛体の制限数などは従来のままです。
一方、MMDユーザーへの恩恵は、処理速度・描写速度の向上、操作感の向上などで大きいものではあります。
いくつかのバグも修正されているようで、安定性も上がっているかもしれません(要検証)
Ver7.39→Ver7.39dotに続いてのバージョンアップとはなりましたが、MMD本体の開発終了宣言を覆すものではありませんので、過度な要望や改善要求などは控えましょう。
(重度なバグ報告などは別)
MMEの方は現在ベータ版でもあり、ユーザー、特にエフェクト作者からのフィードバックが必要とされるでしょう。
SNSやメールなどで舞力介入Pへ連絡する事は可能です。
(個別エフェクトについての質問や要望などは、舞力介入Pではなく、エフェクト作者の方へ。また意見が反映されるかどうかは作者次第ですので、採用されなかったり返答などが無くても気を悪くしないように)
MikuMikuDance x64とMikuMikuMovingの比較論もナンセンスです。
二つは姉妹ソフトでモーションファイル・モデルファイルなどの互換こそあれ、似て異なるソフトであります。
MMDにはMMDの良さがあり、MMM独自に搭載されている便利な機能も多くあります。
動画を作るにあたり、どちらが最適化を都度選びながら使い分けていくと良いでしょう。
(選択できるという事は喜ばしい事です)
どうしても2つの便利機能を1つにまとめたものが欲しい場合は、Blenderの使用をお勧めします。
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コメント
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2012/08/17 00:07 by haku URL 編集